2018 Summer ヨーロッパ(アブダビ・ドイツ・スイス)

2018年は7月初旬に早めに夏休みをとって、ヨーロッパに旅行をしてきた。特にドイツは2014年以降、何度か訪れているが、今回行った都市は全て初めての訪問だった。

日程:7月10日(火)~18(水)

  1. アブダビ
  2. カールスルーエ
  3. バーデン・バーデン
  4. チューリッヒ
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ペレアスとメリザンド を好きになれるか?

クロード・ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」。もともとフランス音楽には苦手意識があり、今まで積極的に聴いてこなかったし、私はきっとドビュッシーよりもフォーレが好きだ。このオペラ、暗いとばかり聞くし、途中で寝てしまうとか、最後まで聞き通せない、とかいう声もある。

今年の夏、マルク・ミンコフスキが指揮したオーケストラアンサンブル金沢の定期公演で、このペレアスとメリザンドセミステージ形式で上演された。ミンコフスキが総監督を務めるボルドー国立歌劇場で上演された公演を、歌手も含めてそのまま再現した素晴らしい上演となったそうだ。私もこの公演は金沢まで聴きに行くつもりだったが、仕事や遠征費用の都合で断念。作品に馴染みがなかったことも断念した原因の一つだった。

ちょうど今、ドイツ旅行を考えていて、このペレアスとメリザンドも鑑賞の機会がありそうなので、外国に行ってまで観ようと思える作品かどうか、試しに一度観てみなければと思い立ち、TVの録画リストの中から発見した2012年のエッセン歌劇場の映像を鑑賞してみた。

どうだったかというと。。。映像の作り方のお陰だと思うが、音楽というよりは、メーテルリンク原作の物語に引き込まれ、最後まで2時間半、飽きることなく見終わった!
このレーンホフの演出は、各シーンの最初にあらすじが英語の字幕(もちろん日本語翻訳つき)で紹介されるのだ(実際の上演では、このようなあらすじ字幕があったのかどうかはわからない)。これから上演される物語の説明を読んでから、それが舞台上で舞台装置と歌と演技で再現されるものを見せられるので、物語がとても解りやすい。本当に最初から最後まで救いようのない暗い作品にもかかわらず、見終わった感想は「面白かった」だった。

歌手の歌は、レチタティーボのように音楽にのせて語られて行く形式のもので、アリアのような歌は皆無。オーケストラの奏でる音楽も歌の伴奏と言えるものでなく、歌の旋律とも関係なさそうで、これで歌手はよく歌えるものだと感心してしまった。そういう意味で、ちょっとワーグナーみたいな印象も持った。前半の方で、ワーグナーパルジファルのような音楽だと感じられる場面もあった。

きっと、日本語字幕のない状態で公演を観たら、今日のようには楽しめないだろうことは十分に予想されるけれど、実演を体験してみたいと思った。

少なくとも、ペレアスとゴローの歌手はフランス語ネイティブと思われる。歌の中でのフランス語の発音って、こんなふうに聴こえるのだなと興味深かった。もっとも、私が聞き取れ、意味もわかったフランス語は、ウィとジュテーム、だけだったけれど。

ちなみに、今晩観た作品の概要は次の通り。2017年にクラシカ・ジャパンで放映されたもの。

エッセン歌劇場2012『ペレアスとメリザンド

ジャック・インブライロ(ペレアス/バリトン)

ミヒャエラ・ゼリンガー(メリザンド/メゾ・ソプラノ)

ヴァンサン・ル・テクシエ(ゴロー/バリトン)

ヴォルフガング・シェーネ(老王アルケル/バス)

ドリス・ゾッフェル(ジュヌヴィエーヴ/メゾ・ソプラノ)

マテウシュ・カバラ(医師/バス)

ドミニク・エーベルレ(イニョルド/ボーイソプラノ)

演出:ニコラス・レーンホフ

指揮:シュテファン・ゾルテス

演奏:エッセン・フィルハーモニー管弦楽団、アールト劇場オペラ合唱団

合唱指揮:アレクサンダー・エーベルレ

収録:2012年10月アールト劇場(エッセン)

映像監督:マルクス・リヒャルト

全5幕:約2時間32分

Bayreuther Festspiele 2017 "DIE MEISTERSINGER VON NÜRNBERG"

今年の新演出はニュルンベルクのマイスタージンガー(演出:Barrie Koskye)。

3satの動画オンデマンド(8/18まで)を少しずつ鑑賞中(後でBRの映像ストリームがyoutubeにあがったのでそちらを鑑賞中)。

ラジオストリームではわからなことがいろいろとあるようだ。映像配信はありがたい。

各幕の冒頭は舞台に紗幕が下りていて、そこに文字(もちろんドイツ語)が投影されている。

第1幕

Wahnfied

8/13/1875 12:45Uhr

Ausentemperatur 23 Grad Celsius

Kapellmeister Hermann Levi aus München hat sein kommen angekündigt.

Auch Franz Liszt ist auf dem Weg nach Bayreuth, um Tochter Cosima und Schwiegersohn Richard einen Besuch abzustatten.

Cosima liegt mit einem Migräneanfall im Bett.

Richard ist außer haus ... Molly und Marke Cassi... zu führen.

グーグル先生に英訳していただくとこうなる。

Wahnfied

8/13/1875 12:45 pm

Outside temperature 23 degrees Celsius

Kapellmeister Hermann Levi from Munich has announced his coming.

Franz Liszt is also on his way to Bayreuth to visit his daughter Cosima and Schwiegersohn Richard.

Cosima is in bed with a migraine attack.

Richard is out of house ... Molly and brand Cassi ... to lead.

第2幕

Tagebuch Cosima Wagner

Sonntag, den 27ten November 1870

Mir ist auf der Welt nichts lieber als die Stube, wo ich bin.

denn mir wohnt aneinander meine Schöne Nach barin.

Singt Richard am Morgen

dann tritt er zu mir und sagt.

Da liegt eine Melodie im Bett eine recht große.

Du bist meine Melodie.

またまたグーグル先生登場。

Diary Cosima Wagner

Sunday, November 27th 1870

I do not want anything more in the world than the room where I am.

For I am living my fair one.

Sings Richard in the morning

Then he comes to me and says.

There is a melody in the bed quite a big one.

You are my melody.

第3幕

Bericht Sir Charles Portal, Air Marshal der Royal Air Force.

vom 4. Januar 1945:

Beim Nachtangriff auf Nürnberg kamen auch deutsche Jäger vom Typs Messerschmitt Bf 100 G-4 .

Dornier Do 217N und Junkers Ju 88 C/G zum einsatz.

die mit zwei nach oben gerichteten Geschützer ausgerüstet waren.

Die beiden im Winkel von 70 Grad montierten 20-mm kanonen des typs MG FF/M und MG 151/20 ermöglichten es den zumeist unbemerkt bleiben den deuschen Jägern, die Motoren und den in den Tragflächen befindlichen Treibstoff ber britischen Bomber von unten in Brand zu schießen.

Für die neue Waffentechnik verwendeten die Deutschen den Codenamen "Schräge Nachtmusik" .

で、グーグル先生によると

Report Sir Charles Portal, Air Marshal of the Royal Air Force.

Of 4 January 1945:

During the night attack on Nuremberg came also German hunters Messerschmitt Bf 100 G-4.

Dornier Do 217N and Junkers Ju 88 C / G are used.

Which were equipped with two upwardly directed guards.

The two 20 mm cannons of the type MG FF / M and MG 151/20 mounted at an angle of 70 degrees made it possible to ignite the engines, the engines and the fuel in the wings above British bombers from below shoot.

For the new weapon technology the Germans used the codename "Schräg Nachtmusik".

3幕途中

Hans Sachs:

Ich bin verklagt und muß bestehen:

drum laßt mich meinen zeugen ausersehn.

Ist jemand hier. der Recht mirweiß ?

Der tret' als zeug' in diesen kreis!

Hans Sachs:

I am sued and must stand:

Therefore let me see my witnesses.

Is somebody here. The right?

The tret 'as a witness' in this circle!

1幕は、ワーグナーバイロイトの家「Wahnfied」が舞台。現在はワーグナー博物館として見学可能。広さはともかく、壁にかかっている絵画や書棚は本物を模して舞台上に再現されていて素敵。

ザックス=ワーグナー、エファ=コジマ、ポーグナー=リスト、という設定。そしてダーヴィットとワルター役の歌手もワーグナーの扮装をして登場。ベレー帽をかぶり、顎鬚を生やしている。彼らはいきなり舞台下手側にあるグランドピアノの蓋の中から現れる。おまけに、男の子が二人登場する。この子達も小さなワーグナーだ。二人のうち、小さい方のチビワーグナーは、フォークトさんの息子ちゃん(四男)が演じている。フォークトさんといっしょにインタビューを受けていた。奥さんにそっくりでとってもかわいい!

そしてもう一人。ユダヤ人でありながらワーグナー信奉者だったヘルマン・レヴィは、ベックメッサー役のクレンツレが演じている。序曲~1幕冒頭の教会の場面では、これらの出演者のパントマイムが続くのだが、お祈りの間にクレンツレだけが気が進まない様子で、ワーグナーに跪いたり十字を切ったりを強要され、渋々応じている。なるほど、彼がユダヤ人であり、ユダヤ教徒だということを現しているのだろう。この後、歌学校の場面で他のマイスターが登場した後も、ベックメッサー(=ヘルマン・レヴィ)だけが一人違う動きをしているのも納得がいく。ザックス、ポーグナー、他のマイスター達は、あたかも仲良しクラブみたいにみな同じ動作をする。出欠をとる場面では、みなコーヒーカップを持ち上げて、スプーンでカップを鳴らす。これ、音程が音楽と合うように調整してあるそうだ。オペラの中でもザックスが批判しているが、マイスタージンガー達の閉鎖的な世界をよく現している。

実際、ベックメッサーだけは市の書記で、職人ではないのだから、ベックメッサーユダヤ人、という設定も納得がいく。1幕では、ワーグナー反ユダヤ主義を揶揄したものになっているということか。オーストラリア人だけどユダヤ人であるBarrie Koskyeらしいメッセージが込められているのでしょう。

2幕の冒頭は、紗幕の投影はコジマの日記ということだけど。緑の芝生の上でワーグナーとコジマがピクニックしている場面で始まる。2幕の設定は何を言いたいのかいまいちよく分かりません。

第3幕は、ニュルンベルク国際軍事裁判が開かれたニュルンベルク裁判所600号陪審法廷(Schwurgerichtssaal 600)が舞台となっている。なるほど、舞台の奥に、ソ連、イギリス、アメリカ、フランス、の国旗が見える。国旗の並び順も当時の裁判の時と同じになっているようだ。3幕の幕切れは、ザックスのドイツの芸術万歳演説だけど、これをこの法廷を舞台に歌わせるというのは、皮肉が込められているということか。

私なんかはこの演出、普通に作品として面白いなと思って見ていたのだけど、裏には人種差別や迫害に対する批判が込められているのかな。

Thursday, 25. May 2017 Tannhäuser New Production

Musikalische LeitungKirill Petrenko

Inszenierung, Bühne, Kostüme, LichtRomeo Castellucci

Regiemitarbeit Silvia Costa

ChoreographieCindy Van Acker

Dramaturgie Piersandra Di Matteo

Chor Sören Eckhoff

Licht Romeo Castellucci

DramaturgieMalte Krasting

Hermann, Landgraf von Thüringen Georg Zeppenfeld

Tannhäuser Klaus Florian Vogt

Wolfram von Eschenbach Christian Gerhaher

Walther von der Vogelweide Dean Power

Biterolf Peter Lobert

Heinrich der Schreiber Ulrich Reß

Reinmar von Zweter Ralf Lukas

Elisabeth, Nichte des Landgrafen Anja Harteros

Venus Elena Pankratova

Ein junger Hirt Elsa Benoit

Vier Edelknaben Tölzer Knabenchor

Bayerisches Staatsorchester

Chorus of the Bayerische Staatsoper

待ちにまったフォークトさんのタンホイザーロールデビュー公演。無事に実演を見届けることができた。大好きな歌手のロールデビューに立ち会える(と言っても、プレミエの日ではないんだけど)ことなんて、そうそうある機会ではないと思い、なんとかミュンヘン行きを決行。感無量。

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ユリアン・プレガルディエン 13012017

いずみホール主催の「シューベルト こころの奥へ」シリーズのvol.4として開催されたシューベルト《冬の旅》の公演に行ってきた。演奏は、ユリアン・プレガルディエン(T)&鈴木優人(フォルテピアノ)。

シューベルト こころの奥へ vol.4 歌曲集《冬の旅》

ユリアン・プレガルディエン&鈴木優人

●日時

2017年1月13日(金)

●出演者

ユリアン・プレガルディエン(テノール

鈴木優人(フォルテピアノ

●演奏曲目

シューベルト:《冬の旅》op.89,D911

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2016年舞台鑑賞総括

2017年、新年明けましておめでとうございます。

こういうテーマは、年度内に取り上げるべきものなんでしょうが、今頃になって振り返り。

2016年は5月~6月にかけて大好きな歌手が来日するという、気分がそわそわして落ち着かない一方、楽しいことのたくさんあった良い1年でした。また、東京から大阪に転勤するという、舞台鑑賞環境にも変化のある年となりました。

さて、ここで足を運んだ公演数のカウント。

合計65公演

1月4回、2月7回、3月9回、4月4回、5月3回、6月4回、7月5回、8月2回、9月9回(内海外4回)、10月4回、11月9回、12月5回

転勤の内示があった3月に9回はキツかった。送別会、引継ぎ、引越し、と忙しかった中で9回もよく行ったもんだ。これでもプレガルディエンの公演は諦めて人に譲ったんだから。4月以降も、新国立劇場N響定期の公演を中心に、人に譲ったり、おけぴに出したり。何よりもローエングリンの平日の2公演を諦めざるを得なかったのは残念でした。

でも、5月~6月にかけてのフォークトさん祭り2週間は、思いがけない嬉しい出来事があったりして、大いに楽しみました。5月29日の新国立劇場のシーズンエンディングパーティー(ゲストは飯守先生とフォークトさん!)の抽選に当たったり、出待ちをしてサインをいただいたり、SNSで知り合ったフォークトさんファンのみなさんにお会いしてお話をしたり、本当に充実した2週間でした。

そして一番嬉しかったこと。それは、フォークトさんの「美しき水車屋の娘」が目の覚めるような素晴らしい公演であったこと!2013年の同会場同演目のリサイタルでは明らかに調子が良くなかったし、こちらの期待が大きかっただけに、大ファンである私も少なからずがっかりな気持ちになった公演だったのだ。でも今回の公演は会心の歌!やっぱり本当はこんなふうに歌えるんだ!と満足感と幸福な気持ちで満たされ、また彼のポテンシャルに心躍る公演でありました。

さて昨年1年、印象に残った演奏会は私らしく声楽がらみが多かった。

・イェスティン・デイヴィス(カウンターテナー)リサイタル★

・東京春祭 ジークフリート

新国立劇場 ローエングリン

・クラウス・フロリアン・フォークト 美しき水車屋の娘★

N響 千人の交響曲

・ペトレンコ指揮 バイエルン国立歌劇場管弦楽団ミュンヘン

ザルツブルクイースター音楽祭 ラインの黄金

・読響 第九

とりわけ、イェスティン・デイヴィスとの出会いは嬉しいものでした。彼の柔らかく、美しいクリアな声にはすっかり魅了されました。一声で心をつかまれた歌手はフォークトさん以来のこと(たぶん声の特徴が似ているのだな、この二人→※あくまで当社比)。これからも積極的に聴く機会を持ちたいと思う歌手と出会えました。幸せなことです。

海外遠征は、9月ウィーン、ミュンヘンでの3日間。ウィーンでは、フィリップ・ジョルダン率いるパリ国立歌劇場管弦楽団ミュンヘンキリル・ペトレンコ指揮バイエルン国立歌劇場管弦楽団、を聴いた。これから確実にますますの活躍が予想される二人の指揮者を聴けてラッキーだったと思う。特にペトレンコの指揮は、ところどころにこだわりを感じるもので、オケの奏者に一音たりとも何気なく音を出すことを許さないといった気合を感じた。そして、気持ちをわくわくさせるものであったことは確か。彼とベルリンフィルの組み合わせは、そうとう面白いことになるのではないかと思う。私にとってベルリンフィルは硬派で重戦車みたいなイメージのあるオケだが、ペトレンコのロマンチックなアプローチによって演奏に違った傾向の変化が出てくるのではないだろうか、と考えている。どうなることか、楽しみに待っていよう。

今年は、経済的に東京にばかり通っているわけにもいかないので、大阪、兵庫、京都、滋賀でのオペラや声楽がらみの演目を中心に、公演をしぼって少しのんびりと聴いていきたいと考えている。

お金をためて、海外遠征に備えたい。5月にミュンヘンタンホイザー、8月にバイロイト音楽祭に行く計画をしている。どちらも楽しみだ。

9月弾丸旅行 鑑賞演目覚書

9月に予定しているヨーロッパ弾丸旅行で鑑賞予定の曲目を確認しておく。できるだけ事前予習をするつもり。

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Aus „Ring des Nibelungen“ Richard Wagner

Einzug der Götter in Walhall

„Walkürenritt” aus der Oper „Die Walküre”

Wotans Abschied und Feuerzauber

Waldweben

Siegfrieds Rheinfahrt

Trauermarsch

Siegfrieds Tod

Schlussszene der Brünnhilde aus dem Musikdrama „Götterdämmerung”

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Sergej Prokofjew

Symphonie Nr. 1 D-Dur, op. 25, „Symphonie classique“

Maurice Ravel

Konzert für Klavier und Orchester G-Dur

Modest Petrowitsch Mussorgskij

Bilder einer Ausstellung; für Orchester bearbeitet von Maurice Ravel

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Richard Wagner LOHENGRIN

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György Ligeti

Lontano für großes Orchester

Richard Strauss

Vier letzte Lieder

Peter I. Tschaikowsky

Symphonie Nr. 5 e-Moll op. 64