Thursday, 25. May 2017 Tannhäuser New Production
Musikalische LeitungKirill Petrenko
Inszenierung, Bühne, Kostüme, LichtRomeo Castellucci
Regiemitarbeit Silvia Costa
ChoreographieCindy Van Acker
Dramaturgie Piersandra Di Matteo
Chor Sören Eckhoff
Licht Romeo Castellucci
DramaturgieMalte Krasting
Hermann, Landgraf von Thüringen Georg Zeppenfeld
Tannhäuser Klaus Florian Vogt
Wolfram von Eschenbach Christian Gerhaher
Walther von der Vogelweide Dean Power
Biterolf Peter Lobert
Heinrich der Schreiber Ulrich Reß
Reinmar von Zweter Ralf Lukas
Elisabeth, Nichte des Landgrafen Anja Harteros
Venus Elena Pankratova
Ein junger Hirt Elsa Benoit
Vier Edelknaben Tölzer Knabenchor
Bayerisches Staatsorchester
Chorus of the Bayerische Staatsoper
待ちにまったフォークトさんのタンホイザーロールデビュー公演。無事に実演を見届けることができた。大好きな歌手のロールデビューに立ち会える(と言っても、プレミエの日ではないんだけど)ことなんて、そうそうある機会ではないと思い、なんとかミュンヘン行きを決行。感無量。
2日目に当たる25日の公演。プレミエをラジオで聴いた時は、第1幕は歌もバタバタと余裕がない感じで、オケとも微妙にテンポ感が合わなかったり、かなり肝を冷やしたのだった。しかし、さすが!そこは全部修正してきた。プロのオペラ歌手はやっぱり凄い。
集中したとてもいい公演となった。ラジオで聴いた「ローマ語り」には感動したが、生はその感動もまたひとしお。ローエングリンの名乗りの歌のごとく、細かく繊細な表情をつけて歌ったフォークトさん。すでにかなり完成度の高い歌唱。
一方で、1幕のヴェーヌス賛歌3回は、2幕、3幕の完成度から見ると、まだまだのびしろの残る歌唱。これからもっと深化していくに違いない。タンホイザーは、ローエングリンと比べると最初から飛ばしていかなくてはいけない大変さがあることを実感。こりゃ大変な役なのだと認識を新たにした。今まで他の歌手の歌を、演歌歌手みたいとか、ヨレヨレとか、ひどいこと思ってしまってごめんなさい。大変なんだよね、みなさん。
ローエングリンもそうだけど、そんな歌を、こんなにも軽やかに、爽やかに歌える歌手は他にどこにもいない。重々しさが足りないとか、声が軽すぎるとか、細いとか、役に合ってないとか、批判もたくさん出ているんだろうけど、軽やかに歌われるタンホイザーの何が悪いというのか?タンホイザーという役に、過度な性格付けとか深みとか、持たせなくてもいいんじゃないの。率直で、大胆で、感情の振れ幅の大きな、多感な若者なのだから。
シンプルなハープ1本の伴奏で歌われる1回目のヴェーヌス賛歌。まるでフォークソングかのように私的に歌うフォークトさん。ヴェーヌスの愛を讃える歌ではあるが、ヴェーヌスと二人だけの緊密な空間で歌われる歌なのだから、こういう表現もありだと思った。公衆の面前で声高に讃える場面ではないのだし。だけど、それを物足りなく思い、違和感を持つ人もいるだろう。それはそれで理解はできる。最後は好みの問題なんだ。でも、みんな判を押したような同じ表現ばかりじゃつまらないじゃない。もしかしたら、フォークトさんの声質では、この音域はあのようにしか歌えないのかもしれないけれど、フォークトさんらしく個性的で新鮮な歌を支持します!
終演後、楽屋口に現れたフォークトさんは、今までに見たこともないくらい嬉しそうに笑っていた。きっと本人としても手応えがあったんでしょうね。その笑顔を見てこちらも幸せな気持ちになった。良い夜だった。